HOME ENGLISH 

入会案内機関誌学術集会委員会活動報告・発行物リンク
トップペ-ジ > 報告・発行物 > 専門看護師・認定看護師活動推進委員会
  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

バナ-画像

公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.32

Vol.31

Vol.30

Vol.29

Vol.28

Vol.27

Vol.26

Vol.25

Vol.24

Vol.23

Vol.22

Vol.21

Vol.20

Vol.19

Vol.18

Vol.17

Vol.16

Vol.15

Vol.14

Vol.13

Vol.12

Vol.11

Vol.10

Vol.9

Vol.8

Vol.7

Vol.6

Vol.5

Vol.4

Vol.3

Vol.2

Vol.1

Vol.32-1
認知症の理解が進み,認知症の方も介護者も笑顔で過ごせる地域をめざして
公益社団法人広島県看護協会 訪問看護事業局 訪問看護事業部
認知症看護認定看護師
遠藤 泰子

遠藤 泰子プロフィール写真

 私は,訪問看護師として働き始めた頃に独居の認知症の方で訪問看護の利用者Aさんから「あなたは私をわかってくれない」と言われ, 訪問をお断りされました.私は,Aさんに寄り添った看護ができているつもりだったため,驚き,傷つきました. しかしこの経験が認知症看護認定看護師を目指すきっかけとなりました. 認定看護師になったのち認知症看護の経験を重ね,当時の私はAさんのニーズより, 自分のしてあげたい看護を優先し,Aさんの自尊心を傷つけたのだと理解するようになりました. 訪問看護の利用者は,認知症の診断がある人,ない人,様々で,介護者が認知症と診断されていることもあります. 私は,Aさんとの経験から,利用者や介護者の話を聞こうという気持ちで接するようになり, 徐々に認知症の方とのコミュニケーションが図れるようになりました.
 今でも,私は認知症の方の対応に苦慮する職員からの相談時,訪問看護は利用者宅の訪問前から始まっている事, 前回と比較し環境が変化していないか情報を集めながらフィジカルアセスメントすること等を助言し, 必ず「利用者はどう言われていた?」と尋ね,利用者のニーズにあった看護は何かを考えてもらい,認知症の方の意思を尊重し, 私たちに伝えたいことは何かを想像しながら,その方に必要な看護を一緒に考えています.
 今,私は地域の多職種や住民との活動の機会が増え,認知症カフェでの講義や若年性認知症カフェへの参加等を行っています. 若年性認知症の方は,高齢者が多い介護保険サービスは利用しづらく,地域に居場所がありません.これを解決するため昨年, 地域の多職種と若年性認知症カフェを立ち上げました.ここで参加者が「安心できる場所があり,うれしい」と話をされたり, 認知症の進行に対する不安を話した参加者に,介護経験者が体験談を伝える場面等があります. 認知症の方と支援者双方が喜びや哀しみを共有できる居場所作りに関わった経験は,私の財産です. 今後も,認知症の方を含めた地域住民が安心して在宅療養が続けられるよう,認知症の理解促進や地域の課題解決に向け活動したいと思います.
遠藤 泰子(えんどう たいこ)
2004年 公益社団法人広島県看護協会 訪問看護ステーション「若草」入職
2018年 公益社団法人広島県看護協会 訪問看護ステーション「若草」所長
2020年 認知症看護認定看護師資格取得
2025年 公益社団法人広島県看護協会 訪問看護事業局 訪問看護事業部 部長
Vol.32-2
高齢者の意思を大切にした医療・生活支援を目指して
医療法人財団神戸海星病院
老人看護専門看護師
正田 美紀

正田 美紀プロフィール写真

 当院は,急性期一般病棟と地域包括ケア病棟を有する,地域に根差した病院です.私は,老人看護専門看護師として, 高齢者が自分らしい生活を継続できることを目指し,横断的に各部署と連携しながら活動しています. 高齢者のこれからの生活を支えるため,入院前の情報を活用し,その人らしさが発揮できるケアを患者・スタッフと共に検討し実践してきました. また,退院前には,実践したケアを具体的に伝えることができるよう,看護サマリーの記載内容の改善と周知に取り組んできました. そのほか,患者の視点に立った認知症ケア,生きる意欲につながる食支援, 高齢者とその家族がACPに取り組めるよう,医療者が支援する活動の普及に努めています.
 これらの活動の背景には,私の介護付き有料老人ホーム勤務の経験が影響しています.家族には伝えられない「最期の時の意思」を 看護師に語る高齢者や,日々の生活の中で「意思」を示す認知症高齢者の方々に出会い,高齢者の「意思」を支えるため, 私たちケアスタッフは,個々の状況に応じ,ご本人やその家族と話し合い,生活の目標を明確にする様に努めました. これらのことは,治療やケアの選択において意思決定を支えることにつながり,様々な意思決定が求められる病院という場で, 医療者が,高齢患者の生活目標を含めた「意思」に着目し,ACPの支援をすることの重要性を改めて感じています.
当院は,通院患者や地域住民を対象とした勉強会を開催しています.私は,ACP実施が必要となる高齢者とその家族, そしてその他の世代の方々に対しても「意思を伝えること・知ること」の大切さが共有できる企画を継続していきたいと考えています.
現在は,認定看護師や関連委員会と連携し,医療・福祉従事者に対してACPの理解を深め,実践が定着するための体制整備に取り組んでいます. 将来的にはこれらの取り組みを病院全体へと展開し,組織的な体制の構築を目指しています.
正田 美紀(まさだ みき)
看護師免許取得後、一般病院、介護付き有料老人ホーム勤務を経て、2010年大学院修了
同年、神戸海星病院に就職。2011年老人看護専門看護師の認定を受ける